Japanese lates , アカメ 90cm
「釣れたんだ」
言葉にならない叫びのあと、そう思った。
「釣れていいのか」
自分には届くはずがないと思ってた魚を手にしたことで、大きく膨らんだ夢がしぼんでいく気もした。達成感と喪失感が胸を交錯した。
この3年間、夏といえばアカメを思い「ああでもない」「こうでもない」と空想にふけって高知を訪ねた。真夏の炎天下やゲリラ豪雨で、「何やってんだろ」って思うこともあった。やる気をなくして家電量販店の駐車場で1日過ごしたことだってある。
それでもまた時間が経つと高知に行った。投げては忘れ、忘れては投げ。そんなことを繰り返した3年目の夏、七夕の夜にアカメが釣れた。
「自力で探して、自力で釣る」と決めてからも、多くの釣り師とアカメについて話したけれど、「浦戸湾のどこにでもいる」だとか「橋脚で釣れる」「下げ潮がいい」なんて、よく聞く話で盛り上がった。本当のところは、みんな隠してくれたんだと思う。
第1夜 2010年5月22日「日本でいちばん釣りたい魚」
第2夜 2010年5月23日「日本でいちばん釣りたい魚 2」
第3夜 2010年6月28日「日本でいちばん釣りたい魚 3」
第4夜 2010年6月29日「日本でいちばん釣りたい魚 4」
第5夜 2010年7月20日「日本でいちばん釣りたい魚 5」
第6夜 2010年7月21日「日本の怪魚・アカメを追う!」
第7夜 2010年9月25日「日本の怪魚・アカメを追う! 2」
第8夜 2010年9月26日「日本の怪魚・アカメを追う! 3」
第9〜11夜 2011年5月30日〜6月2日「日本の怪魚・アカメを追う! 4」
第12夜 2011年6月30日「日本の怪魚・アカメを追う! 5」
第13夜 2011年7月01日「日本の怪魚・アカメを追う! 6」
第14夜 2011年7月02日「日本の怪魚・アカメを追う! 7」
3年7釣行15夜の記録。
同行者の舞木さんと撮影
昨年のタイリクスズキ釣行で出逢った舞木さん。その日、僕は宇和島に行くつもりだったんだけど、あまりの大雨に意気消沈。途中で高速を降りて適当な河川へむかいました。台風のような風のなか河口でひとり釣りしていると、声を掛けてきたのが舞木さんでした。なんとなく意気投合した僕たちは「来年、アカメを狙いに行きましょう!」と約束。9ヵ月後の今日、浦戸湾で再開しました。
あの日、がんばって宇和島にむかっていたら。あのとき、河口で釣りをしていなければ。小さなきっかけが針の穴を通るようにつながって、僕たちは浦戸湾にやって来た。下げ潮、橋脚、明暗の境。ルアー、ファイト、ランディング。あとから考えると全部ちゃんと意味があって、奇跡的につながってた。
幾千の思いを背負って、真夏の夜の夢をありがとう。
<タックル>
ロッド:ツララ/エルホリゾンテ78
リール:シマノ/カルカッタコンクエスト300
ライン:バリバス/アバニジギングMAXパワー 6号
リーダー:バリバス/ショックリーダーナイロン 60lb
ルアー:ストーム/ワイルドアイスイムシャッド