さすらいのお魚釣り野郎 ~東北関東被災地行脚編~ 最終夜

つりたび

旅の最後は、東北のコクチバスを狙う。

コクチバスは東北と関東を中心に爆発的に増えているようで、最近は近畿でも繁殖が確認されている。オオクチバスよりも冷水域を好むため、長野県の野尻湖や福島県の桧原湖などハイランドレイクを中心に棲息域を拡大しているという。オオクチバスとは異なりコクチバスには放流の公式的な記録がなかった。そこにいてはいけない魚、コクチバスの現状をつり人としてどう見るか。

急流でシンゾーベイト。ジャーク&フォールで

サクラマス用のミノー、ナインズ90MDも◎

流芯で小魚を追うコクチバスを見ると、本当にオオクチバスと同じブラックバスかと思ってしまう。背中から尾ビレにかけてとても発達していて、オオクチバスよりもよくファイトするのだ。

この日は34度を超える残暑にもかかわらず、山間の激流でボイルする大型のコクチバスをたびたび見かけた。これがまたルアーに反応してくれないったらない。「行政はこんな魚にどうやって対応すればいいんだろうね」と言ったシェリルさんの言葉に納得しながらポイントを転々とする。

最後のポイントに着く頃には日も暮れていたけれど、それはそれで涼しくて月明かりのせいか釣りもしやすい。ルアーを流れに乗せてみる。竿を送り込んでいると「コンッ」とアタリがあって、あとは必死に巻き続けた。水面から飛び出した魚体を月夜が照らす。そのシルエットをよく覚えている。

46cmのコクチバス。張りのある黄金の魚体は、生きものとして美しい

案内人のtugaruさん。景色のいいポイントをまわっていただきました

もう少し長く東北に滞在するつもりだったけど、急な予定が入って帰ることになった。行きと同じ道で帰るのもどうかと思い、北陸を走ることにした。車のナビゲーションには「残り850km」と表示されている。4泊5日という短い時間だったけど、いろんなことがあったのはわかってる。帰路のドライブは旅を振り返るには十分の時間で、ひとつひとつの記憶を額縁に飾るように整理していく。

「彼はこんな人だろう」「被災地はこんな場所だろう」「コクチバスはこんな魚だろう」そんなイメージは、いつも圧倒的な現実のまえに覆される。最大限の敬意で向かいあったつもりでも、イメージと現実は似て非なるものだと気付かされる。

「会えば会うほど」「行けば行くほど」「釣れば釣るほど」そんなイメージの隔たりはなくなるのかもしれない。僕にはまだわからないけれど、これからも右往左往してみようと思っている。

さすらいのお魚釣り野郎 ~東北関東被災地行脚編~ 完

<タックル>
ロッド : アングラーズリパブリック/エッジ EVC-663
リール : シマノ/スコーピオンアンタレス
ライン : 東レ/バウオ・ポリアミドプラス14ポンド

ロッド : メガバス/シルバーシャドウSSR-610ML
リール : ダイワ/エメラルダス2506
ライン : バークレイ/ファイヤーラインEXT 1.2号
リーダー : 東レ/バウオ・ポリアミドプラス14ポンド

エクストリーム シンゾーベイト3インチ
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