午前3時に起床。夜明けとともに竿を出すものの、昨日の生命感はない。
川のなかは千切れた草が流れており、とても釣りづらい。「だからバスベイトなのか・・・。」道南でのアメマス釣りの会話を思い出す。一方で、「この状況でも釣りができるように」と北海道から宿題をもらった気もした。「やってしまったな」「それもそうか」と頭のなかで繰りかえしながら、お昼前に納竿して宗谷を出発した。
利尻富士を横目に、オロロン街道を南下する。
途中、ぽつぽつとある漁港に寄り道しながら竿を出したが、これという魚は釣れなかった。それでもノシャップ岬から黄金岬まで、20匹ほどのガヤとソイが遊んでくれた。
まっすぐのびるオロロン街道。
車窓の景色はもの悲しく思えた。
翌日も雨だった。レンタカーの荷物をまとめたあと、少しだけ旭山動物園に行ってみた。ホッキョクグマを観察してみると「うん、やっぱりヒグマは無理。出逢わなくてよかった」と思えた。釣り場に降りるのにクラクションを鳴らしたり、熊鈴をもったり、いつもの釣りとちがった緊張感があったけれど、何事もなく終えることに心の底からホッとした。
イトウを釣ることはできなかった。でも、北海道にはまた来ればいい。何年かかるかわからないけれど、理由ができたじゃないか。全部が全部、思い通りになるわけがないと知って釣りをやってるんだから。また来るよ、北海道。それから北海道のみなさん、たくさん助けていただきありがとうございました。少しのあいだ、さようなら。
さすらいのお魚釣り野郎 〜北海道・原風景の魚たち編〜 完
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