さすらいのお魚釣り野郎 ~だれがイトウを幻にした編~ その19

つりたび


皆既月食の夜。月明かりに照らされた香深の港。

しんと静まり返った港町を歩く。どんどん歩く。ここまで来れば、どこだって釣れるんだろう。そんななかでもいちばん釣れそうなところへ行こう。夜の礼文をどんどん歩く。ここなら熊もいない。

海をながめながら、沿岸の道を歩く。津波注意の看板を横目に、小一時間ほど歩くと漁港が見えてきた。外灯に照らされた水中に大小の岩がゴロゴロ。「いかにも・・・」って感じ。

投げてみるといきなり40cmを超えるクロソイが釣れた。そのあとも足下の岸壁から出るわ、出るわ。ルアーを落とすだけで、クロソイがひったくっていく。ヘッドライトで照らすと、猛スピードでルアーを襲う魚影が見える。礼文の海の成せる技か。

クロソイが吐き出した未消化のエサ。大量の甲殻類が出てきた。エビとは似ても似つかない、大きなルアーで釣れてしまうんだから驚いてしまう。そのあと徐々に型も落ちて、20本ほど釣れたところで納竿。また同じ道を歩いて宿に帰ったら、バタンと眠りに落ちてしまった。

さすらいのお魚釣り野郎 ~だれがイトウを幻にした編~ その20」につづく

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