オホーツク海側のウトロでは、明け方からアキアジを狙うつり人の姿がちらほら。端っこに入れてもらってスプーンを遠投するけれど、やはり河口に近いほうが釣れている(サケマスの釣りは河川ごとにルールがある。しっかり調べて釣りをしたい)。大雨のなか数時間やってみたけれど、カラフトマスからの魚信はない。いったん諦めて、昼食の小休憩をとることにした。

ウトロの観光地・オロンコ岩

漁港近くのお店でお昼をいただく
ずぶ濡れになったレインジャケットやウェーダーをレンタカーに干すと、ぐんぐん上がる気温のおかげですぐに乾いてしまった。iPhoneで近くに温泉施設を見つけたのでなんということもなく行ってみる。

こちらの温泉でビックリするような出会いがありました。「写真を1枚、撮って欲しい」と声をかけてこられたおじさんと話してみると、なんとおじさんはさきほどまでアキアジを狙っていた(!)とのこと。今日はもう十分に釣れたから、帰路につく前にこちらの温泉に来たという。
「カラフトマスならあそこで釣れるよ」
「アキアジするならここだね。赤イカが余ったから使うといいよ」

おじさんのアドバイスどおりに釣りをすると、きれいなカラフトマスが釣れてくれた!

それから場所を移動して、北海道の定番・フロートリグでアキアジを狙ってみる

いただいた赤イカを針にセットして投げる。これで随分違うみたい。

日没前になんとか釣れてくれたアキアジ。おじさんとの出会いがなければ絶対に釣れなかった
太陽は沈み、辺りはどんどん暗くなる。つり人もひとり、またひとり帰路に着く。徐々に静かになる浜辺。地元の長老といった風体のお爺さんが誰に話しかけるわけでもなく声を出した。
「暗くなると熊がでるから帰りなさい」
ここは道東。その言葉には説得力があり、すぐに車に戻り出発した。振り返れば、今日はカラフトマスやアキアジという北海道にふさわしい2匹の魚が釣れてくれた。あの温泉でつり師のおじさんと出会わなければ、まったくちがった1日になっていただろう。いつもであれば反対に転ぶことがほとんどだけど、今日という日は釣りの神様が微笑んでくれたにちがいない。さあ、この流れに身をまかせて、次の目的地へ向かおう。
「さすらいのお魚釣り野郎 〜北海道・原風景の魚たち編 第7夜」につづく