3日目の午後。釧路から羅臼にむかって走る
とにかく警察に捕まらないようにゆっくり運転する。というのも5年前に北海道を訪れたとき、スピード違反で免停処分になったから。あのときは友人がいたけれど、今回はひとり。気を使いすぎるくらい気を使っても悪くない。
旭川空港から釧路への道のりは夜だったこともあって、この日はみどりが新鮮だ。牧場の乳牛を眺めながら、まっすぐ伸びる一本道をひたすら走る。バンビみたいなシカの親子を見つけては、「シカだ!」と声を出してみたり。
牧草地帯を抜けて、知床の玄関口・羅臼(らうす)へ
中間地点の中標津(なかしべつ)で休憩してから太平洋に抜けると、景色はガラリと変わった。海と山がつながり、河口部は岩肌がむきだしの崖になった。植物も牧草地帯のそれと変わり、いつヒグマが歩いてもおかしくない雰囲気を醸し出している。そんな風景を眺めていると、自ずと背筋がピンとした。
羅臼に到着したのは、午後5時を少しまわる頃。
何百というウミネコの大群が小雨の港で羽を休めていた。
ホントに1投目で釣れたエゾメバル
「ルアーが着底しない」とは聞いていたけれど、まさか本当に着底しないとは思ってもみなかった。これからさき入れ食いと言えば、羅臼のエゾメバルを思い浮かべるだろう。ウミネコの数といい、羅臼の豊かな環境を目の当たりにした出来事だった。
「がやがや」賑わしいほどにとれるので「ガヤ」と呼ぶとか
夜になってからが本番。水面まで付いてくる姿が見える
30尾ほど釣ったところで納竿。ワームがなくなりそう・・・
まだ20時すぎだったけれど、明日のカラフトマス釣りのために早めに眠ることにした。車に戻るとすぐそばにシカが座っている。羅臼の町のほとんど中心にも関わらず、ここではなんということもないようだ。少し車を走らせて、道の駅らうすの駐車場でエンジンを切った。真っ暗でまだ小雨も残っている。
明日はカラフトマスを狙う。
独特の緊張感に身を委ね、羅臼の夜は更けていった。
<タックル>
ロッド:シマノ/ルアーマチック S56SUL
リール:ダイワ/TD-ito 2506C
ライン:よつあみ/FCディスク 5ポンド
ルアー:エコギア/グラスミノーSS
「さすらいのお魚釣り野郎 〜北海道・原風景の魚たち編〜 第5夜」につづく